業界での働き方

ソフトウェア業界では、システム・エンジニアリング・サービス(SES・派遣)・受託・自社開発の違で働き方が変わります。 ソフトウェアを作ることは共通していますが、契約や役割が違うため違いがでます。 まず全体像を一言でまとめると以下のようになります。

  • SES   人を貸す(労働力提供)
  • 受託開発  仕事を請ける(成果物を納品)
  • 自社開発  自分たちのサービスを作る(プロダクトを育てる)
  • 3つの働き方のカンタン比較

    項目 SES 受託開発 自社開発
    顧客との契約 作業時間(準委任) 成果物(請負)
    働く場所 客先が主 自社 自社
    技術の幅・深さ 広く、浅く 広く、そこそこ深く 狭く、深く
    キャリア 方向性がブレやすい PM・PLに進みやすい スペシャリストになりやすい
    未経験での参入

    一長一短がある

    SES、受託、自社開発。いずれも一長一短があります。 派遣という偏見で嫌がれるSESは、プロジェクトによっても異なりますが、最近は早く帰れる傾向にあるようです。 長い間エンジニアとして活躍するには、習得できる技術も意識しなければなりません。 また楽しく働ける環境のであるかも重要です。 精神的につらく感じる職場だと、残業ゼロでも身体に堪えます。

    どのような働き方でも、自分のペースで働けるのは技術力を持ったエンジニアだけです。 実力がある人材の方が優遇されます。 入社したらまずは技術力をつけることが肝要です。 そしてこれから役に立つ技術力をつけさせてもらえる仕事があるか見極める必要があります。

    勤務時間

    昔のSESは、ひどいプロジェクトがたくさんありました。 元請社員は早く帰れて、外注は深夜まで働く。 徹夜もありました。 元請社員のできないことを補う担当として、へとへとになりながら働いていました。
    最近はずいぶん改善され、そのようなプロジェクトは聞きません。 SESは作業時間が契約であることから、たくさん働かせると予算消化が早まる原因となります。 ブラック企業というレッテルを貼られたくないという意識があるのか、ほとんど残業がないプロジェクトもあるくらいです。

    その反面、受託開発ではお客様との納期の約束があることから、仕事が終わるまで帰れません。 さすがに労働基準法を無視するソフトハウスもなくなり、ある程度の時間で帰宅できますが、スケジュールが遅れたら帰れないという厳しい世界であることは間違えないです。 自社開発も同様です。

    働く場所

    客先で働くSESは、プロジェクトによっては非常によい環境で働けることがあります。 きれいなオフィスビル。格安で美味しい昼食が食べられる。プロジェクトの雰囲気もいい。 「ティアーズコンピュータと比べると快適」と言っていた社員がいましたが、それは否定できません。
    様々なソフトハウスから派遣されたエンジニアが集結しましたので刺激を受け、よいコミュニケーションがとれることもあります。 しかしその逆も間違えなくあります。 「配属ガチャ」という言葉は、まさにこのことだと思います。

    受託や自社開発は社内から出ることがありません。 慣れた環境で働くメリットはありますが、井の中の蛙になる可能性は大きいです

    将来性

    SESの危うさを指摘するとすれば、スキルの停滞があります。 大学を卒業して3年の実務経験があれば、一定レベルのプログラミㇺを作ることができるはずです。 ところが30歳になっても40歳になっても20代と同様なレベルのままのエンジニアが意外と多いです。

    SESの基本は、足らない部分の補充です。 顧客との折衝や仕様決めという責任ある上流工程は元請の社員が担い、プログラミングからテストといった下流の工程を外注は担います。 いつまでたっても設計工程を経験できず、またマネジメントも経験できない状態でミドル世代に突入すると問題です。 ミドル、シニアになると単価が高すぎるという理由で仕事が決まらず、会社からも冷たくされて退職。 フリーランスで何とか食いつないでいるエンジニアもいます。

    では、受託や自社開発ならば将来は安心かといえば、そうとも言えません。 私たちはプロのエンジニアとして、顧客からも会社からも技術を求められています。 その期待に沿うことができないエンジニアは、どんな仕事でもどこかで淘汰されてしまいます。

    入りやすさ

    ソフトウェア業界への入りやすさはSESが群を抜いています。 受け入れてくれるプロジェクトに入れれば会社は利益になりますので、人手不足の現代では簡単に採用となるでしょう。 技術者として芽が出なければ自らあきらめて退職していきますので、大量採用、大量退職がこの業界での賛同できない採用姿勢です。

    将来性で述べた通り、SESでは業界に入れたとしても将来に安心することができません。 個人的な意見となりますが、ベストは受託開発を行っている小規模で面倒を見てくれるソフトハウスがベストではないでしょうか。

    どういう働き方がいいのか

    40年以上この業界で生きてきたティアーズコンピュータの代表に、どういう働き方がいいか聞いてみました。 前提として、考え方は個々によって異なりますから、一意見として捉えてください。

    一番楽しく苦しかったのは自社開発だそうです。 開発中の敵は社内にいて、「鶴の一声」で仕様が大幅に変えさせられるということがあったそうです。 「鶴」とは社長や役員です。 発売になり、売れた時の喜びは大きいと言います。 苦労が大きければ、完成時の喜びも大きいということでしょうか。

    受託開発はお客様から信頼を得て、仕事で指名されることがうれしかったと言います。 売れっ子エンジニアになると、仕事が集中してしまって忙しさも比例して大きくなってきます。 それでもお客様の喜ぶ顔が見られると、次も頑張ろうと思ってしまうと言います。 継続して開発を依頼されると、その分野の知識はプロ並みになります。 その分野の知識が深まれば、他社の参入を許さない強固な取引関係を作ることができます。

    SESは、時々外の空気を吸いたくなった時に最適と言っていました。 社外にはいろいろなタイプのエンジニアがいますので、交流することにより、知識や人脈が広がります。 SESで生涯の友に出会えることもありますし、SES先でお嫁さんをもらったエンジニアもいます。 ときどき他社の社長や役員が来社することがありますが、その方々はSESで知り合った元エンジニアだそうです。

    このことからSES、受託、自社開発は悪い働き方ではなさそうです。 しかしSESでプロジェクトをたらい回しされたまま30代になってしまうと、技術力がその年代としては低いものとなってしまい、苦労する可能性があると指摘しています。 一社員として企業に入社すると、基本的に人事異動などには逆らえませんので、運・不運があるのは確かです。

    自分のやりたい仕事があれば、実力を付けてから会社に提案をしましょう。 良い提案ならば、大抵の会社は配慮してくれます。 それでも自分の希望に合わない場合は退職してもいいでしょうが、アクションを起こさないで退職するのはいただけません。 努力が必要です。

    入社まもなく退職すると、プラスにならない経歴を背負ってしまうことになります。 転職の面接では、辞めた理由を執拗に聞かれることは間違えないです。 ネガティブな理由でやめていると、採用しても同様な理由でやめるでしょうから、ティアーズコンピュータならば採用しません。 派遣だけをやっている会社でしたら、派遣してしまえば利益になりますから採用してくれるでしょうが、将来性もあわせて考えると疑問があります。

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